「い、きます」


即答した。


柔らかな微笑みに、瀧川さんのお家だとかお呼ばれした喜びとか、服どうしようとか相手が男性であるとかふたりきりになるとかを考えつく前に、するりと頷いていた。

条件反射だった。


むしろ今頃になって思い出して、ようやくあれ随分会社に近い、ああそうか一人暮らししてるんだな、社会人だもんなあ、なんて考えた体たらく。


「今日の夕方、は瀧川さんお仕事でお疲れですよね、えっと……いつにしましょう」


いつならあいているか聞きたかったけれど、瀧川さんはお忙しいし、私はお仕事中だし、今手元にメモもないから、あんまりタイミングがよくない。

今日はさすがに唐突すぎで、がっつきすぎである。


「そうですね……」


少し考えた瀧川さんは、鞄から名刺とペンを取り出して、裏にさらさらアドレスを書いた。


「私のアドレスです。ここに連絡してもらえますか」


いただけますかじゃなかった。こちらじゃなかった。


崩れている。多分口調がプライベート寄りになっている……!