「練習あるのみですか」

「練習あるのみですよー、私もいくつ駄目にしたか……」

「そうなんですか?」

「そうなんですよ。生焼けになったり焦がしたり、あんがはみ出たりして。もう申し訳なくって」


私個人のおやつなので練習費の負担はもちろん私だけれど、教えてくださった稲中さんに申し訳なかった。

極端にもの覚えの悪い生徒ですみませんでした……。


私も私の家族もたい焼きが大好きだから、私が作ったものを食べてみたいという話になって、たまたま稲中さんにそういう話をして。


家庭用たい焼き器を買おうか迷っていると言ったら、うちで作ってもいいよとおっしゃってくださって、教えていただくことになったんだけれど、難しかった。


あんまり上達が遅くて下手で、随分長い間教えていただいていた。付き添いながらハラハラしっぱなしだったんじゃないかなあ。


家族の中でも主に強く作ってほしいと言っていた祖母は、稲やさんで作った、練習用の型崩れしてぼろぼろなたい焼きが、どうにか綺麗な形が作れるようになるまで何回か持ち帰ったら満足したらしくて、結局家庭用たい焼き器は買っていない。