微笑みに、こちらこそありがとうございますと言おうとして震える口を開いたけれど、喉が詰まって声が出なかった。


はくりと熱い吐息がこぼれる。目尻が熱を持ってぼやけた。触れられた両手が熱い。


まだ成人もしていなかった、初めてのアルバイトの。


指示を仰いで、了承をいただいて、でもやっぱり不安で。これでいいのかな、大丈夫かなって漠然と心配して。


自分なりにがむしゃらにもがいてきた手探りの四年間が、何もかも報われる気がした。


優しい眼差しが、私のぼろぼろの手に降る。


「勤勉な方の、一生懸命な方の手です」


瀧川さんは二度繰り返した。


「恥じる必要はないなんて、私が言うことではありませんが。私は、あなたの勤勉さがよく現れた手だと思います」


——ああ。


「痛くないのでしたら、よかった。不躾にすみません」


…………ああ。


そっと手が離れる。


寒さに押された少し低い体温が、ほのかに微熱を残していく。


「それでは十三時に参りますね」