百花が龍輝にメールを送ってみたらしいが、返事はなかったようだ。


本当に風邪をひいているのかどうかも怪しい。


もしかしたら、アンミの亡霊に1人で怯えているのかもしれない。


どうにか通常の授業が終わり、あたしと理央は一緒に教室を出た。


次に使うのは百花のサインの予定だ。


それをどのタイミングで、どんな自殺を選んで使うかが問題だった。


並んで階段を降りていると後ろから晃紀が声をかけてきた。


「芽衣、気をつけて帰れよ」


そう言いながらあたしを追い越していく。


「うん、晃紀もね」


あたしはそう言い、晃紀に手を振った。


たったそれだけのやりとりで心の中が暖かくなるのを感じる。


最近では晃紀があたしをイジメていた時のことも、ほとんど思い出さなくなっていた。


あたしは階段を降りながら晃紀の後ろ姿を見つめる。


そんなあたしを不思議そうな目でみている理央に、あたしは気が付かなかったのだった。