ヴェルト・マギーア ソフィアと竜の島

「お前みたいな奴、見たことないぞ!」
 
さっき少女に向かって剣を振り下ろした兎人族の言葉に、俺は軽く笑みを浮かべて右腕を変形させ爪を尖らせる。

「ふっ……そんなの当たり前だ!」
 
そして一気に兎人族との距離を縮め、右腕を振り上げて叫ぶ。

「俺は元狼人族だからなぁ!!」

「ぎゃはああああ!」
 
破壊の牙を少女に向かって剣を振り下ろした兎人族に食らわせ、右目に傷を持つ兎人族に問いかける。

「こいつの両親を殺したのは誰だ?」
 
その問いかけに兎人族は頭を左右に振った。

「その事をお前に話わけにはいかない。それにお前は現狼人族ではなく、元狼人族なんだろ? 元狼人族のあんたが、下手な厄介事に首を突っ込むのはどうかと思うぜ」

「……確かにな」
 
俺はそう言い右腕の変形を解き、後ろに居る少女に目を配った。

「確かに俺は元狼人族だ。だからこの少女を助ける理由も、縄張り争いの戦争に首を突っ込む理由なんてものも存在しない。だが……」
 
俺は後ろに居る少女を守るように立って、兎人族たちを睨みつけながら叫ぶように言う。

「たかが狼人族の子供相手に、大人の兎人族が七人揃って襲い掛かるのを、黙って見過ごせるわけがないだろ!」
 
狼人族の子供を仕留めるだけなら、大人の兎人族は一人か二人で充分なはずなんだ。

でもこいつらは、七人掛かりで確実にこの子を仕留めようとしている。俺はその事に疑問を抱いていた。
 
つまりそれは、子供の狼人族でも絶対に知られたくない事があるってことになる。

こいつらは何かを隠したがっていて、それは子供でも知られるわけにはいかない内容なのだろう。