ヴェルト・マギーア ソフィアと竜の島

「星の涙はオフィーリアの命でもあった。でも星の涙はエアの願いを叶えるためなら、平気な顔をして主を殺すんだ。オフィーリアの前の人たちだってエアの願いを叶える為だけに、その命を差し出した。エアの末裔たちからしたら、エアのために死ねるなら本望だと言うかもしれない。でも彼女、オフィーリアはそんなこと望んでいなかった」

「……先生」

「当然、星の涙を欲しがった奴らはたくさん居たさ。初めて信じた人でも結局は、星の涙の魅力に囚われて、彼女から星の涙を奪おうとする。そのせいで彼女は、人を信じることが出来なくなってしまった。でもそんな彼女は、誰よりも守護者たちが一刻も早く集まることを望んでいた。残り少ない自分の命を全て使ってでも、彼女は歩き続けたんだ」
 
ブラッドの話を聞いていたレーツェルさんは、目に涙を浮かべると視線を下に下げた。

そんなレーツェルさんを、アムールさんは優しく抱きしめた。

「オフィーリアは生きたいと強く願っていた。でも星の涙を内に秘めている限り、絶対に死ぬと言う運命から逃げる事は出来ないんだ。……それでも彼女は、生きたいと願った」

「……っ」

「でも……星の涙はエアの願いを叶えてこの世界から消滅した。そして結局彼女も死んでしまった……俺のせいで」

「えっ……?」
 
一瞬ブラッドさんの左目から光が消える。

しかし直ぐに左目は光を取り戻すと、ブラッドさんは苦笑して言う。

「悪いな、こんな暗い話をしてさ」
 
ブラッドさんは何もなかったように立ち上がると言う。

「俺がどうしてエアの代行者と名乗っているのか、それはオフィーリアが成し遂げられなかった願いを叶えるために、俺が勝手にそう名乗っているだけなんだ。特に深い意味なんてない」
 
ブラッドさんはそう言うと立ち上がり、部屋の扉の方へと歩いていく。

「ま、俺が魔剣と守護者について知っているのはこれくらいだ。後の話しはアル、任せてもいいか?」

「それは構わないが、お前はどこに行くんだ?」