ヴェルト・マギーア ソフィアと竜の島

そんな俺たちの姿に苦笑したブラッドさんが言う。

「別に何も知らなかったお前たちを、責めて言っているんじゃないぞ? 俺だってこんな事に関わっていなかったら、知らなくて当然の事だったんだしな」

「ブラッドさん……」

「……ある、一人の女性の話をしようか」

「えっ……」
 
俺たちは伏せていた顔を上げてブラッドさんへと視線を動かした。

「普通魔剣には主が一人居て当然。サファイアにならカレン、エクレールにはアレス、アムールだったら俺というふうに。でもレーツェルには今主は居ないんだ」

「あっ……」
 
そう言えばあの時、ブラッドさんはアムールさんとレーツェルさんの二人の力を使って戦っていた。

でもブラッドさんはアムールさんの主で、レーツェルさんの主ではない。

でもならどうして、ブラッドさんはレーツェルさんの力を扱えているんだ? ある一人の女性と言うのは一体?

「彼女は誰よりも早くレーツェルと共に、守護者と魔剣集めの旅に出たんだ。しかしその度は、彼女にとってとても過酷なものだった」

「過酷なもの?」

「彼女――オフィーリアは、エアの血を引くエアの末裔と呼ばれる一族の、最後の生き残りだった」

「え、エアの末裔って!」
 
確かエアの末裔は、エアの血を引く一族と呼ばれる存在だったはずだ。

魔法の知識を広めたのも彼らだって魔法書で呼んだことはあるけど、もう何百年も前に姿を消したと書いてあったし、本当にそんな一族が存在していたのかも怪しまれていた。
 
でも今確かにブラッドさんは、【エアの末裔】と言った。

それにオフィーリアさんって?

「彼女……エアの末裔たちは代々、星の涙と呼ばれる膨大な魔力を秘めた雫を守ってきていた。彼女たちが姿を隠したのは、その星の涙の魔力を悪用されないためだったんだ」