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魔剣の中で唯一、黒い粒子を浄化する事が出来る光剣エクレールを彼に託した俺は、ザハラの付き人だったヨルンを相手に戦っていた。

「くそ! くそ! くそ!!」
 
彼は黒い粒子を操りながらも、自分はその場から動こうとはしなかった。

しかし俺にとって黒い粒子なんて何でもない存在だ。 

うん、全然怖くない。
 
俺は魔剣アムールを使って、次々と黒い粒子を斬り捨てていく。

『おい、ブラッド。本当にあいつで良かったのか?』

「何がだ? アル?」
 
頭の中でアルの声が響き、黒い粒子を斬り捨てながら呑気に彼と会話をしていく。

『エクレールの主をあいつに選んで良かったのかって、聞いているんだ』

「あ〜そのこと? 別に誰でも良かったけど、あの中だと彼が一番適任だと思ってさ」

『誰でも良かったって……』
 
アルはアレスの事が心配なのか深々と溜め息を吐く。

人が只今戦闘中だって言うのに、溜め息をついてもらいたくないんだけど……。

「それにこれは、お前が大好きで仕方がないレーツェルだって、心から賛成してくれたことなんだぞ? その彼女の気持ちを裏切れって言うのか?」

『お前……会った頃に比べたら、最近ますます調子に乗った口を聞くようになったな。そのうち殺すぞ』
 
お〜……怖い怖い。

そう思い苦笑しながら、俺はアレスへと視線を戻す。

そして目を細めた。

「それにあいつはどういう体をしているのか知らないけど、魔人族の血と本来の血が上手く溶け合っている。だからエクレールだったら、彼の力を最大限に引き出せると思ったんだ」
 
どういう原理化は知らないけど、彼の体の中には僅かながらに魔人の血が流れている。

本来、魔人族の血が人間族の血に馴染むなんて事はあり得ないのだが、そのあり得ない事を実現させてしまったのが彼なのだ。