ヴェルト・マギーア ソフィアと竜の島

「よし、決めた!」
 
ロキは私から少し離れると、宣言するように私に人差し指を向けると言う。

「今日からお前は俺にとっての目標だ!」

「……目標?」
 
目標……ってどういう意味?

「目標って言うのは、俺もお前見たく凄い奴になるって意味だ!」
 
……それってつまり私みたいになりたいってことなの?

「お前は将来凄い奴になる! その隣には俺だって立ってみたいんだ」
 
ロキの言葉に私は目を丸くした。

彼の言葉が頭の中を巡って、そこで初めて私は彼にとって大きな存在なんだと思えた。

だから私も素直に微笑んで見せて。

「じゃあ、どっちが先に凄い人になれるか、競争しましょうか」

「おっ! 良いなそれ!」
 
それから私たちはよく話すようになった。

一緒に勉強をしたり、街へ出かけたり、時には喧嘩をしてお互いの気持を言い合ったりもした。
 
ロキにとって私は大切な友人になっていって、この関係がずっと続けば良いとそう思っていた。

でも……その思いは届くことはなかった。
 
私が魔剣サファイアに認められた頃から、私は家族や親戚の人たちから特別な存在として扱われるようになった。

それまで私と言う存在は、居ても居なくてもどちらでもいい存在だったんだ。
 
私よりもお兄様のサルワは、【お前は我が家の誇りだ】、【お前は自慢の息子だ】などと言われていて、両親はお兄様を褒めるばかりで、私の事なんて一度も褒めてくれた事なんてなかった。

でも、お兄様だけは私という存在をちゃんと見てくれていた。

「カレン。お前は俺にとって大切な妹だ。それはこの先もずっと変わらない」
 
私はお兄様が大好きだった。

人の為になる研究がしたいと、口癖のように言っていたお兄様の力になりたくて、魔剣サファイアの力で何かお手伝いが出来ないかと思っていた時、突然両親がお兄様を悪く言うようになった。

「妹のカレンはサファイアに認められたと言うのに、兄のサルワはまだ研究なんてしているのよ」

「人の為に研究をしたって、そんなもの何のメリットにもならないじゃないか」
 
最初の頃はお兄様も特に気に留めていなかったけど、自分がしてきた研究を両親や親戚の人たち全員から否定されてしまったお兄様は、荷物をまとめて家から出て行ってしまった。

「ま、待って下さい! お兄様!」
 
そんなお兄様を私は必死になって追いかけた。するとお兄様は最後に私の方へ振り返ってこう言った。

「カレン。お前みたいな奴のどこが、いったい凄いと言うんだろうな」

「……えっ」
 
その言葉に心臓が大きく跳ねた。