天音の気持ちも考えないで、と怒りが湧いてくる。

ちらりと見ると、彼はひどく傷ついたような顔でうつむいていた。その姿を見て、やっぱりだめだ、と確信する。

わたしは天音の手首をがっしりと握った。そして、彼女たちを真正面から見つめて、はっきりと声に出す。

「無理です」

止められるまえに、天音の手を引いて駆け出した。

「えっ、ちょっと!?」

唖然としてこちらを見ている彼らに頭を下げつつも足は止めず、ショッピングモールの方向へとダッシュする。

しばらくして、だんだん息切れして足が重くなってきたので、スピードを緩めた。

振り返って見ると、天音がまだ驚いたような顔をしていた。

「ごめんね、急に走っちゃって」

彼はふるふると首を横に振ってから微笑み、唇を『ありがとう』と動かした。

「わたし、早とちりとかお節介じゃなかった?」

天音がおかしそうに笑いながら、また首を振る。

「そっか、よかった」

一安心して息をつき、わたしは今度はゆっくりと歩き出した。

ショッピングモールに着いたら、予想外の出来事があったせいかなんだかどっと疲れが来て、わたしたちはとりあえずカフェに入ることにした。

店内はまだ空いていて、お好きな席にどうぞと言われたので、大きな窓の側で外がよく見えるテーブルを選んで腰かけた。

注文を終えて、いつものようにとりとめのない話をする。なんとなく話したくなって、わたしは学校の話をした。