「お~お、びっくりしたのう。おまえは猫か?」


「あたりまえやん。猫以外には見えへんやろ」


「いや、おまえが魚の干物を目いっぱいくわえていたので、口の広がった狸の化け物かと思うたわ」


「その魚の干物は何や。それに、おまえは谷の部落の者か?」


「ちゃうよ。うちは町から来てんねん」


「町から来た?なぜ町から私の家に来たのじゃ。それに、その魚の干物は何じゃ」


シロクロは目の前に置かれている魚の干物が気になってしょうがありません。

(く、く、食いたい・・・美味そう・・・よだれ、よだれが出てきそうじゃ)