意を決したように、真っ直ぐ前を向く。 その顔は、何とも言えない強さを放っている。 その瞳に宿るゆるぎない思いは、曇った鉛色の空には似合わない。 「協力するべきなんです。これ以上、犠牲者を出さないために」 この人は、こんな顔をするのか。 ただ笑って相手に合わせ、和やかな雰囲気をまとっている彼が、こんな顔を。 ドクン、と胸が打った。 言葉では伝わらない思いは、こんなにも表情だけで伝わるのか。 「……あなた達を助ける、なんて言えない」