「・・・は、涼香っ!」





一瞬、私のことを"遥香"と呼ぼうとした直斗。






私の隣にいる莉心や、周りを見て、"涼香"と言い換えた。





「・・・なに?」





気まずくて、目が泳ぐ。





一昨日、あんな別れ方をしたんだ。





気まずくないわけがない。





「・・・私は先に言ってるね!」





そう言って、莉心は先に言ってしまった。






「・・・話があるんだけど。」






先に言葉を発したのは、直斗だった。






「・・・話ってなに?」






直斗の顔を見ることが出来なくて、視線を足元に落とした。





「・・・人がいないところに行こう。」





直斗は私の手を引いて歩き出す。





着いた場所は中庭の、端っこで。




倉庫などで、人目につかない所だった。