意識が遠くなる。

くすりってなに…?

お坊っちゃまが近づいてくる。なのに、何をすることもできない。

「琴葉…琴葉」

「っう…あ」

いや、こんなの…。嫌だよ…。

やだ、やだ、やだ…。

「な、るや…」

助けて…。成夜、お父さん…。

「…呼ぶな」

「…なるや、たすけ…」

「呼ぶなって言ってるだろ!!」

「っあ゛ッゲホっはぁ…」

痛い…痛い、はずなのに頭が麻痺してよく分からない。

「っあ…いや、っはぁ…」

「琴葉、琴葉…」

ワカラナイ。コレハ、ダレノコエ…?

ワタシハ、ナニヲシテル…?

ワカラナイ、ワカリ、タクナイ…。

身を裂くような激痛と、感じたことがないような快楽に同時に襲われた直後、目の前が真っ暗になった。