「何が気に食わねぇ」

「…」

「季龍さんの気遣いが、そんなに気に入らねぇのか!!」

「!!?」

「暁!」

奏多さんの声に暁さんは舌打ちしながら私の手を離す。

ため息をついている奏多さんは、困ったように暁さんを見る。

「ごめんね、琴音ちゃん」

「…」

首を横に振る。

なんで、敵意を向けられているんだろう。分からない。それが怖い。

…なんか、疲れちゃったな。

重たい瞼を無理矢理開けて、ゆっくり息を吐いた。

「…琴音ちゃん、ご飯呼びに来るまで部屋にいてね」

「コク」

「ごめんね。じゃあまた後で来るから。暁」

「ッチ…女、勝手に出回りやがったら」

「暁!いい加減にしろ!それじゃ、琴音ちゃんゆっくりしてて」

怒る暁さんを強引に連れ出した奏多さんは部屋を出ると、すぐに襖を閉めた。