あたしのことなんて
ただの従業員
ただそれだけ。


部分的記憶喪失の事も
みんな知ってるから 
少々つじつまが合わないことを
言ってもそこには振れない。


お昼休憩のとき
廊下ですれ違った。


あたしは知らない顔をしてたのに
「浜田さん」
と 突然健二くんに呼びとめられた。


「はい」


「あのさ 君と
親しく話してたかな?」


思い出してくれた?
もしかして思い出した?


「はい」


「どんな会話してた?
なんかさ浜田さん見るとさ 
友達だったような気がするんだ」


「そうですね 
よく冗談も言ってましたよ」


「そうか
ごめんね 覚えてないことも
たくさんあって
以前のオレが迷惑かけてたりしたら
ごめんね ってことでこれ飲んで」


と 自販機でコーヒーを買ってくれたのだ。


「ありがと」


ホントは言いたい 
付き合ってたのよなんて
でも それは混乱させるだけ
見守るしかない。


いつか思い出してくれるまで。。。