もう一度恋して




典子さんが
「あなたに話があるの ちょっと来て」
あたしを自分の耳元へ呼んだ。



そして小声でみんなには聞こえないように言った。


「健二くんはさ さっきからおかしいのよ」


「おかしい?」


「たぶんあたしと付き合ってると思ってる様子
さっきだってそうでしょ?あなたを見ても
なにも顔色変えないしたぶんだけど
記憶がないんじゃないのかな?
だからあんたの負け!!!
どうあがいても無駄!」


「えっ?」


「現に浜田さんって呼んでるでしょう?
実はさ あたし健二くんを好きなのよね 
父が言ったように去年
健二くんの子供もおろしてるわけだし」


うそよね・・・
あなたはお兄さんの彼女だったよね
それさえも嘘だった?


「うそよ!」


「だって父がさっき言ったでしょう?
家に二人してきたって 
それが証拠じゃない?」


ああ・・・。


「だからあなたは余計なこと言って
悩ませないで!!!」


やっぱり好きだったんだね
だから荷物を取りに来たとか口実つけて
会いに来てたんだ。


「ひどいねあんた!!!」


『おい!そこ何をコソコソ言ってるんだ 
君は早く帰りたまえ』


お義父さんに怒鳴られたので
あたしは健二くんに


「早く良くなってね」


と 告げ病室を出た。