その後も付き人さんたちは懸命に思いとどまらせようとしたけれど、結局なにを言っても、クレーターさんの決意は変わらなかった。
「皆様、なにとぞ我らが長様をお願いいたします!」
「長様、どうか、どうかご無事で!」
涙声で見送る付き人さんたちとは、ここでお別れ。
あたしたちは門川君&水園さん探索に、いよいよ動き出す。
「固まって移動すると目立つよね?」
「まずは我と、小娘としま子、それと小僧で、宝物庫の結界付近に行くぞ。よいな?」
「時間をおいて、ジュエル様とわたくしめが」
「さらにその後で、小浮気様と麻呂が参りまする」
お互いの顔を見合い、うなづき合って、さあ行動開始!
先発隊のあたしたちはさり気なく、母屋から外庭の方へとスタスタ移動した。
真っ白な敷石が隙間なく敷き詰められた中道を踏み、見事に剪定された大きな松の樹々の間を、素知らぬ顔で通り抜けていく。
背の低い竹囲い越しに見える、花菖蒲の薄紫、百合の白、金糸梅の黄色が、初夏の風に艶やかに揺れている。
この美しい日本庭園を忙しなく行き交う人たちの、普段となにも変わらない表情を見ると、逆に気が引き締まる思いだった。
この中の誰ひとり、門川君が消えたなんて夢にも思っていない。
誰にも知られないうちに、事件が大事になる前に、うまく収めなければならない。
『失踪癖のある、問題当主』なんて烙印を押されたりしたら、門川君の足を引っ張りたがる連中が、狂喜乱舞するに決まってるもん。
「皆様、なにとぞ我らが長様をお願いいたします!」
「長様、どうか、どうかご無事で!」
涙声で見送る付き人さんたちとは、ここでお別れ。
あたしたちは門川君&水園さん探索に、いよいよ動き出す。
「固まって移動すると目立つよね?」
「まずは我と、小娘としま子、それと小僧で、宝物庫の結界付近に行くぞ。よいな?」
「時間をおいて、ジュエル様とわたくしめが」
「さらにその後で、小浮気様と麻呂が参りまする」
お互いの顔を見合い、うなづき合って、さあ行動開始!
先発隊のあたしたちはさり気なく、母屋から外庭の方へとスタスタ移動した。
真っ白な敷石が隙間なく敷き詰められた中道を踏み、見事に剪定された大きな松の樹々の間を、素知らぬ顔で通り抜けていく。
背の低い竹囲い越しに見える、花菖蒲の薄紫、百合の白、金糸梅の黄色が、初夏の風に艶やかに揺れている。
この美しい日本庭園を忙しなく行き交う人たちの、普段となにも変わらない表情を見ると、逆に気が引き締まる思いだった。
この中の誰ひとり、門川君が消えたなんて夢にも思っていない。
誰にも知られないうちに、事件が大事になる前に、うまく収めなければならない。
『失踪癖のある、問題当主』なんて烙印を押されたりしたら、門川君の足を引っ張りたがる連中が、狂喜乱舞するに決まってるもん。


