神様修行はじめます! 其の五

 なんなの、小浮気一族って! 最低野郎の出没危険区域なの!?


 まるで、道端で目が合っただけでケンカ吹っかけてくるような、問題児中学生みたいなヤツばっかり!


 そりゃーこの人は、自分の娘が行方不明で、心配のあまり混乱してるのかもしんないけど。


 それにしたって無礼な態度にも、限度額ってもんがあるでしょうが!


 頭が太陽みたいに光ってりゃ、世の中すべて許されると思ったら大間違いなんだからね!?


「小娘、やめい。お前こそ落ち着け」


「止めないで絹糸! コイツの頭に微妙に生え残ってる雑草、あたしがスパッと除草してやる!」


「それはそれでいっそ清々しくて笑えるが、やめておけ。ほんにお前ら一族同士は、昔から相性が悪くてかなわぬ」


「……へ?」


 昔から仲が悪い? 滅火の一族と、小浮気一族が?


 そんなの知らない。初めて聞いたよ。


 キョトンとして長さんを見ると、長さんは泣き腫らした目をフッと逸らして、ブスくれた顔をしている。


「絹糸、どういうこと?」


「小浮気、という言葉の意味を知っておるか?」


「すぐフラフラ浮気しちゃう、不誠実な最低男って意味?」


 キッ!とこっちを睨んで文句を言いかけた長さんを目で制して、絹糸が説明を続けた。


「小浮気とは、沼地や水辺といった、水を表す言葉なのじゃよ」


 へえ。それは知らなかった。


 だって『小浮気』って字ヅラから見ても、ちっちゃい浮気を何度も繰り返す、始末に負えないダメ男ってイメージじゃん。


 あー、それで最初から小浮気の人たちとは、どうもウマの合わない空気感ビシバシだったんだ!


『火』と『水』じゃあねぇ。そりゃ相性悪いわ。


 悪いってレベル通り越して、もはや天敵じゃん、あたしたち。