「ああぁぁ、これが露見したらもう小浮気一族は、終わりだぁぁ……」
「ちょっと長さん、あのですね、まだ詳しい事情は分かんないんだから、先走らないでもらえます?」
アナタの悲惨な「あぁぁ」ばっかり聞いてる時間、ないんだからさ。
とにかく本題、進めようよ。OK?
「ね、まずは落ち着いて……」
「落ち着けだと!? これを、どう落ち着けと言うのだ!?」
メソメソぐずぐす鼻を啜っていた長さんが、あたしが話しかけたとたん、顔をバッと上げて反論してきた。
太めだけど短い眉がキッと上がって、その眉とは不釣り合いに小さく垂れた両目が、涙で潤んで真っ赤だ。
「我が娘、水園が門川当主様と駆け落ちしたのだぞ!? 駆け落ちだぞ!? 駆け落ち! ふたりは駆け落ちしたのだぞ!?」
「ちょっと! 駆け落ち駆け落ち連発しないでよ!」
つい反射的に、一族の長相手だということも忘れて、思いっきり怒鳴り返してしまった。
だってまだ詳しい事情は分からないって言ってるのに、なに勝手に決めつけてんのよ!
「駆け落ちに決まっているだろうが!」
「決まってないよ! っつーか絶対、違う!」
「絶対、駆け落ちだ!」
「あんたねぇ! なんなのよ、その自信満々に言い切る根拠は!」
「美貌、知性、家柄、品格、すべてにおいて完璧な水園を見て、当主様が目を覚まさぬはずがないからだ!」
ほうれい線が目立ち始めた口元を大きく動かし、長さんが叫び返してくる。
「早まった婚約発表を後悔した当主様が、水園を連れて、お前から逃げ出したのに決まっている!」
「こんのクレーター野郎いますぐそこになおれ! あたしの滅火の炎で、髪の毛一本残らないほど完全抹消してくれる!」
「ちょっと長さん、あのですね、まだ詳しい事情は分かんないんだから、先走らないでもらえます?」
アナタの悲惨な「あぁぁ」ばっかり聞いてる時間、ないんだからさ。
とにかく本題、進めようよ。OK?
「ね、まずは落ち着いて……」
「落ち着けだと!? これを、どう落ち着けと言うのだ!?」
メソメソぐずぐす鼻を啜っていた長さんが、あたしが話しかけたとたん、顔をバッと上げて反論してきた。
太めだけど短い眉がキッと上がって、その眉とは不釣り合いに小さく垂れた両目が、涙で潤んで真っ赤だ。
「我が娘、水園が門川当主様と駆け落ちしたのだぞ!? 駆け落ちだぞ!? 駆け落ち! ふたりは駆け落ちしたのだぞ!?」
「ちょっと! 駆け落ち駆け落ち連発しないでよ!」
つい反射的に、一族の長相手だということも忘れて、思いっきり怒鳴り返してしまった。
だってまだ詳しい事情は分からないって言ってるのに、なに勝手に決めつけてんのよ!
「駆け落ちに決まっているだろうが!」
「決まってないよ! っつーか絶対、違う!」
「絶対、駆け落ちだ!」
「あんたねぇ! なんなのよ、その自信満々に言い切る根拠は!」
「美貌、知性、家柄、品格、すべてにおいて完璧な水園を見て、当主様が目を覚まさぬはずがないからだ!」
ほうれい線が目立ち始めた口元を大きく動かし、長さんが叫び返してくる。
「早まった婚約発表を後悔した当主様が、水園を連れて、お前から逃げ出したのに決まっている!」
「こんのクレーター野郎いますぐそこになおれ! あたしの滅火の炎で、髪の毛一本残らないほど完全抹消してくれる!」


