神様修行はじめます! 其の五

「……なるほど、事情は分かりましたでおじゃる」


 伝書亀の背中に乗って、文字通り飛んで来たマロさん。


 セバスチャンさんから手短に要点をまとめた説明を聞いて、すぐに納得してくれた。


「そういうことならば、ぜひ麻呂も同行させてくだされ」


「済まぬのう。お前は本当は、身重の塔子のそばについていたかろうが……」


 心なしか毛並みの乱れた絹糸が、ゲッソリした表情でマロさんの厚意をねぎらう。


「いえいえ。実は塔子も、自分が行くと言い張っていたのでおじゃりまする」


「やれやれ。塔子は腹の中に子がいるという自覚はあるのか?」


「まったくにおじゃりまする。元気なのは良いことなのですが」


 苦笑いする絹糸と一緒に、マロさんも困った顔で苦笑い。


 さすが塔子さん。つわりで体調不良でも、我らが切り込み隊長の気合い満々だ。


 赤ちゃん、あの塔子さんのお腹の中で十ヶ月も育てられるのかぁ。


 生まれる前からビシビシ鍛えられて、塔子さんソックリの、そうとう根性据わった赤ちゃんが生まれてくるんだろうな。


 楽しみ半分、怖いもの見たさ半分だ。


「にー! にー! にー!」


 権田原の里から連れてこられた子猫ちゃんが、興奮してさっきからずっと騒いでいる。


「パールちゃんたら、静かにしなくてはダメですわよ?」


 お岩さんが両腕の中にすっぽり包み込むようにして、子猫ちゃんをたしなめていた。


 子猫ちゃんは一応、権田原の里で幽閉されている……ということになってるから、ここにいるのがバレちゃまずいのだ。なにかと。