大騒ぎしているあたしたちの姿を、当の騒ぎの犯人が、黒く柔和な両目でジッと見つめている。
その小さな瞳に向かって、あたしは、恒例の決まり文句を叫んだ。
「こら、アレキサンドロヴィチ3世! もっと静かに登場しろっていつも言ってるでしょ!」
あたしの怒鳴り声を無言で聞いているのは、権田原最速を誇る、伝書亀のアレキサンドロヴィチ3世。
と、その奥さんのカモメちゃんご夫婦だ。
コンコルドも顔負けのマッハ速度で飛行するクセに、それ以外の動作も性格も、実にカメカメしたのんびり屋さん。
「この手紙を端境一族の典雅様に、大至急で届けるように」
そう言ってセバスチャンさんが差し出した手紙を、アーンと開いた口の中にパクッと受け取る。
……それにしてもいっつも思うんだけど、なんで亀に日本語が通じんの?
亀に日本語が理解できて、あたしに英語が理解できないという、この神秘。
「お……お前たち、権田原の里へ行って、我が子を連れて来い……」
桜の樹からジュリエッタによって救出された絹糸が、足元をフラつかせながら近寄って来る。
「絹糸、大丈夫? なんか目の焦点が合ってないけど」
「ベルベットちゃん? わたくしの可愛いパールちゃんをどうするつもりですの?」
「お前のでも、そんなキテレツな名でもないわい。今回は我が子も同行させる」
「え? なんで?」
「永久の役割をするものが必要じゃ」
その小さな瞳に向かって、あたしは、恒例の決まり文句を叫んだ。
「こら、アレキサンドロヴィチ3世! もっと静かに登場しろっていつも言ってるでしょ!」
あたしの怒鳴り声を無言で聞いているのは、権田原最速を誇る、伝書亀のアレキサンドロヴィチ3世。
と、その奥さんのカモメちゃんご夫婦だ。
コンコルドも顔負けのマッハ速度で飛行するクセに、それ以外の動作も性格も、実にカメカメしたのんびり屋さん。
「この手紙を端境一族の典雅様に、大至急で届けるように」
そう言ってセバスチャンさんが差し出した手紙を、アーンと開いた口の中にパクッと受け取る。
……それにしてもいっつも思うんだけど、なんで亀に日本語が通じんの?
亀に日本語が理解できて、あたしに英語が理解できないという、この神秘。
「お……お前たち、権田原の里へ行って、我が子を連れて来い……」
桜の樹からジュリエッタによって救出された絹糸が、足元をフラつかせながら近寄って来る。
「絹糸、大丈夫? なんか目の焦点が合ってないけど」
「ベルベットちゃん? わたくしの可愛いパールちゃんをどうするつもりですの?」
「お前のでも、そんなキテレツな名でもないわい。今回は我が子も同行させる」
「え? なんで?」
「永久の役割をするものが必要じゃ」


