このままで、いい。
このままが、いい。
このままのふたりの姿を、光景を、記憶にとどめておきたい。
壁紙の模様も、カーペットの色も、ソファーの配置も。
そこに座っているお父さんの姿も、パタパタと忙しそうに歩き回ってるお母さんの表情も。
いつも通りの平凡な光景を、この心に焼き付けたい。
どうしようもないほど大切で、
絶対に失いたくないほど愛しくて、
それでも、手放さなくてはならないこの世界を……。
「…………」
あたしはドアノブに手をかけ、扉を開けた。
「おやすみ、里緒」
「おやすみなさい、里緒」
背中越しに聞こえる、優しい声。
「……おやすみ、なさい」
最後に交わしたその言葉が、嘘にはならない唯一の言葉であることに心から感謝して
あたしは、そのまま振り返らずに廊下へ出て
そして……
静かに扉を閉めた……。
このままが、いい。
このままのふたりの姿を、光景を、記憶にとどめておきたい。
壁紙の模様も、カーペットの色も、ソファーの配置も。
そこに座っているお父さんの姿も、パタパタと忙しそうに歩き回ってるお母さんの表情も。
いつも通りの平凡な光景を、この心に焼き付けたい。
どうしようもないほど大切で、
絶対に失いたくないほど愛しくて、
それでも、手放さなくてはならないこの世界を……。
「…………」
あたしはドアノブに手をかけ、扉を開けた。
「おやすみ、里緒」
「おやすみなさい、里緒」
背中越しに聞こえる、優しい声。
「……おやすみ、なさい」
最後に交わしたその言葉が、嘘にはならない唯一の言葉であることに心から感謝して
あたしは、そのまま振り返らずに廊下へ出て
そして……
静かに扉を閉めた……。


