そして、ついに死相が見え始めた地味男にクンクンと鼻先をつけて、あの鈴の音のような可憐な鳴き声を上げた。
「にぃぃー。にぃー……」
子猫ちゃん自身、死の淵からようやく生還したばかりの身だ。余力なんて残っているはずもない。
なのに子猫ちゃんは、か細い声を振り絞って術を発動し始めた。
まるでオブラートみたいに薄くて頼りないけれど、それでも癒しの効果が地味男の全身を包み込む。
すると、地味男のノドから聞こえていた風穴みたいなヒューヒューした音がピタリと止んだ。
白目を剥いて死の境界線を行き来していた彼の目に、ほんの少しだけ光が戻る。
そしてその目が、懸命に自分を救おうとしてくれている子猫ちゃんの姿を捉えた。
「にぃー……。にぃ、いー……」
術を発動している子猫ちゃんの体がプルプルと小刻みに震えて、どんどん声も小さくなり、尻すぼみになっていく。
相当、つらいんだろう。それでもそんな我が身を叱責するように子猫ちゃんは鳴き続けた。
子猫ちゃん、こんなに必死になって地味男を救おうとしてる。ついさっきまで、その地味男のせいで死にかけてたっていうのに……。
その健気な姿が、もう、たまらない。言葉もない。
目の奥から熱い涙がポロポロ溢れてきて止まらないよ……。
「……ありが……とう。小さき者よ……」
なんとかまともな声が出るようになった地味男の手が、子猫ちゃんの頭をふわりと撫でる。
汗と血にまみれた顔の、隈の浮かんだ目元が優しく細められた。
「私にも、見えましたよ。小さくとも、穢れのない真っ白な星の輝きが」
そして地味男は、なおも鳴き続ける子猫ちゃんの口元を指先でそっと覆って微笑んだ。
「でも、もうよいのです。どうやら私の時間は、終わりを迎えるときがきたようです……」
「にぃぃー。にぃー……」
子猫ちゃん自身、死の淵からようやく生還したばかりの身だ。余力なんて残っているはずもない。
なのに子猫ちゃんは、か細い声を振り絞って術を発動し始めた。
まるでオブラートみたいに薄くて頼りないけれど、それでも癒しの効果が地味男の全身を包み込む。
すると、地味男のノドから聞こえていた風穴みたいなヒューヒューした音がピタリと止んだ。
白目を剥いて死の境界線を行き来していた彼の目に、ほんの少しだけ光が戻る。
そしてその目が、懸命に自分を救おうとしてくれている子猫ちゃんの姿を捉えた。
「にぃー……。にぃ、いー……」
術を発動している子猫ちゃんの体がプルプルと小刻みに震えて、どんどん声も小さくなり、尻すぼみになっていく。
相当、つらいんだろう。それでもそんな我が身を叱責するように子猫ちゃんは鳴き続けた。
子猫ちゃん、こんなに必死になって地味男を救おうとしてる。ついさっきまで、その地味男のせいで死にかけてたっていうのに……。
その健気な姿が、もう、たまらない。言葉もない。
目の奥から熱い涙がポロポロ溢れてきて止まらないよ……。
「……ありが……とう。小さき者よ……」
なんとかまともな声が出るようになった地味男の手が、子猫ちゃんの頭をふわりと撫でる。
汗と血にまみれた顔の、隈の浮かんだ目元が優しく細められた。
「私にも、見えましたよ。小さくとも、穢れのない真っ白な星の輝きが」
そして地味男は、なおも鳴き続ける子猫ちゃんの口元を指先でそっと覆って微笑んだ。
「でも、もうよいのです。どうやら私の時間は、終わりを迎えるときがきたようです……」


