それでも門川君は何を答えるでもなく、淡々とした表情のまま。
自分の考えを、ここで皆に知られるわけにはいかないからだ。
セバスチャンさんの出生にまつわる秘密は、すごく深刻だし複雑だから、仲間内にも言えない。
ましてや水絵巻は、神の一族全体の家宝。私用で使うなんて、もってのほかだ。
だから決して表沙汰にすることなく、誰にもナイショにしなければならないんだ。
「次に会うときはいつになるか知れないが、塔子殿、くれぐれもお体を大事に」
「は、はい。永久様……」
「典雅殿、僕が留守の間、ここにいる皆のことをよろしく頼む」
「麻呂にお任せあれでおじゃりまする」
「凍雨君、執務の手筈はもう、すべて心得ているね? 頼りにしている」
「はい! 大丈夫です永久様!」
「岩さん、どうか天内君の心の支えになってやってほしい」
「もちろんですわ永久様。アマンダは、わたくしとジュリエッタちゃんが守ります」
「セバスチャン」
「はい」
「あとは頼んだ」
「……承知いたしました」
セバスチャンさんが胸元に手を添え、恭しく一礼する。
その頼もしい姿を見た門川君は、安心したように口元を緩めた。
自分の考えを、ここで皆に知られるわけにはいかないからだ。
セバスチャンさんの出生にまつわる秘密は、すごく深刻だし複雑だから、仲間内にも言えない。
ましてや水絵巻は、神の一族全体の家宝。私用で使うなんて、もってのほかだ。
だから決して表沙汰にすることなく、誰にもナイショにしなければならないんだ。
「次に会うときはいつになるか知れないが、塔子殿、くれぐれもお体を大事に」
「は、はい。永久様……」
「典雅殿、僕が留守の間、ここにいる皆のことをよろしく頼む」
「麻呂にお任せあれでおじゃりまする」
「凍雨君、執務の手筈はもう、すべて心得ているね? 頼りにしている」
「はい! 大丈夫です永久様!」
「岩さん、どうか天内君の心の支えになってやってほしい」
「もちろんですわ永久様。アマンダは、わたくしとジュリエッタちゃんが守ります」
「セバスチャン」
「はい」
「あとは頼んだ」
「……承知いたしました」
セバスチャンさんが胸元に手を添え、恭しく一礼する。
その頼もしい姿を見た門川君は、安心したように口元を緩めた。


