神様修行はじめます! 其の五

 予想もしていなかった言葉に、あたしはキョトンと目を丸くした。


「なにそれ? 隔離ってどういう意味?」


「検分が済むまでの間、永久は住まいを別にすることになる」


「小浮気一族の、ごく限られた者以外は、誰ひとり僕に接触できない状態になるんだよ」


「はあ!? なんでえ!?」


 思わず叫んだあたしだけじゃなく、お岩さんたちも目を丸くして驚いている。


 どうやら誰も知らなかったことらしい。


「一応、神聖な儀式じゃからのぅ。それと、検分の公正さを期する意味もある」


「そんな! 門川君をひとりぼっちになんかできないよ! あたしもついて行く!」


 あたしは門川君のボディーガードなんだもん!


 護衛役は別枠だよね!? でしょ!?


「いまのお前は、護衛役というより花嫁候補になってしもうたからのぅ」


「天内のお嬢様の同伴を許可すれば、他の花嫁候補たちもドッと押し寄せてくるでしょう」


「まるでハーレムじゃな」


「そんな儀式は聞いたこともないよ。これ以上、僕のせいで小浮気の長殿の頭を悩ませるわけにはいかない」


「そ、そんなあ……」


 そりゃあ、あのクレーター頭があれ以上どうにかなっちゃったら、目も当てられなくなるとは思うけど!


 ……不安なんですけど。

 なんか、メチャクチャ不安なんですけど。


「ね、ねえ? 検分ってさ、どんくらいの期間が必要なの?」


「うぅむ、門川の宝物庫は、やたらと広いのでな……」


「そうだな。早くて一ヶ月。長ければ三ヶ月か、半年か。……予想がつかないな」


「半……!?」


 ふ、不安なんですけど!?

 心配なんですけど!? 寂しいんですけどぉ!? 

 はっきり言ってイヤなんですけどおぉ!?