送った当人が、『届け先が分からない』ってどういうことよ!?
あんた、どんだけバカな発送依頼人なの!? 自分が送った荷物の届け先住所くらい、ちゃんと把握しなさいよ!
「しま子をどこにやったのか教えて! 何番地の、何丁目の、何号室かまでキッチリ正確に教えろ!」
そしてしま子を、あたしに返せ!
血相変えて立ち上がり、地味男に駆け寄ろうとしたあたしに、門川君が慌てた声を出す。
「待て! 天内君!」
「うぐっ!?」
門川君の治癒術の術陣から一歩踏み出たとたん、背中を中心に激痛が走った。
息を詰まらせて仰け反るあたしの腕をつかみ、門川君が引き寄せる。
彼の腕の中に倒れ込みながら、あたしは顔を歪めて大きく息をついた。
「また忘れたのか!? 治癒が完了していない状態で術陣から飛び出すんじゃないと、あれほど教えたろう!」
門川君の腕の中で、あたしは地味男を睨みつけて必死に怒鳴った。
「早く教えて! しま子がどこにいるか、本当は知ってるんでしょ!?」
「……本当に、たしかなことは私にも分かりません。でもあの赤鬼が本来の鬼神に戻ったのなら、おそらくは異形の世界に転移したのでしょう」
地味男は、あたしの必死の形相をじっと見つめながら静かに言葉を続ける。
「転移の宝珠は、自分の望む場所へ移動する宝物。自分の本能に一番近い場所に、引き寄せられるはずですから」
あたしは、確かめるように門川君の顔を見上げる。
門川君は、地味男の言葉を肯定するように無言でうなづいた。
じゃあ、しま子は異形の世界にいる可能性が一番高いってことだね?
「い、行けるよね? しま子を探しに行けるよね?」
「…………」
「会えるよね? ちゃんとまた、しま子に会えるんでしょう?」
門川君は、今度はうなづかなかった。
悲しそうに眉を寄せて、あたしの両目を黙ってじっと見つめている。
その沈黙が怖い。深い悲しみの色に沈んでいる、彼の目がとても怖い。
自分の中の否定しきれぬ恐れと不安を振り払うように、あたしは彼の胸ぐらを鷲づかんで大声を出した。
「答えてよ! 会えるって言ってよ! ねえ、しま子を探しに行こう! お願いだから!」
「それは不可能じゃ。お前も先ほど知ったであろう? 異形の世界の瘴気の凄まじさを」
門川君の代わりに、絹糸が答えた。
哀れみと、覚悟と、すべてを受けいれてしまっているような声だった。
「異形の世界は、人が存在できる場所ではない。会いに行くことなど、とうてい叶わぬ」
「……嘘だ」
「我らのことを忘れてしまったしま子が、我らの元に戻ってくる道理もない。我らがしま子に会うことは、二度と叶わぬであろうよ」
「嘘だ」
「……もう、叶わぬのだ。小娘よ」
「嘘だ!」
あんた、どんだけバカな発送依頼人なの!? 自分が送った荷物の届け先住所くらい、ちゃんと把握しなさいよ!
「しま子をどこにやったのか教えて! 何番地の、何丁目の、何号室かまでキッチリ正確に教えろ!」
そしてしま子を、あたしに返せ!
血相変えて立ち上がり、地味男に駆け寄ろうとしたあたしに、門川君が慌てた声を出す。
「待て! 天内君!」
「うぐっ!?」
門川君の治癒術の術陣から一歩踏み出たとたん、背中を中心に激痛が走った。
息を詰まらせて仰け反るあたしの腕をつかみ、門川君が引き寄せる。
彼の腕の中に倒れ込みながら、あたしは顔を歪めて大きく息をついた。
「また忘れたのか!? 治癒が完了していない状態で術陣から飛び出すんじゃないと、あれほど教えたろう!」
門川君の腕の中で、あたしは地味男を睨みつけて必死に怒鳴った。
「早く教えて! しま子がどこにいるか、本当は知ってるんでしょ!?」
「……本当に、たしかなことは私にも分かりません。でもあの赤鬼が本来の鬼神に戻ったのなら、おそらくは異形の世界に転移したのでしょう」
地味男は、あたしの必死の形相をじっと見つめながら静かに言葉を続ける。
「転移の宝珠は、自分の望む場所へ移動する宝物。自分の本能に一番近い場所に、引き寄せられるはずですから」
あたしは、確かめるように門川君の顔を見上げる。
門川君は、地味男の言葉を肯定するように無言でうなづいた。
じゃあ、しま子は異形の世界にいる可能性が一番高いってことだね?
「い、行けるよね? しま子を探しに行けるよね?」
「…………」
「会えるよね? ちゃんとまた、しま子に会えるんでしょう?」
門川君は、今度はうなづかなかった。
悲しそうに眉を寄せて、あたしの両目を黙ってじっと見つめている。
その沈黙が怖い。深い悲しみの色に沈んでいる、彼の目がとても怖い。
自分の中の否定しきれぬ恐れと不安を振り払うように、あたしは彼の胸ぐらを鷲づかんで大声を出した。
「答えてよ! 会えるって言ってよ! ねえ、しま子を探しに行こう! お願いだから!」
「それは不可能じゃ。お前も先ほど知ったであろう? 異形の世界の瘴気の凄まじさを」
門川君の代わりに、絹糸が答えた。
哀れみと、覚悟と、すべてを受けいれてしまっているような声だった。
「異形の世界は、人が存在できる場所ではない。会いに行くことなど、とうてい叶わぬ」
「……嘘だ」
「我らのことを忘れてしまったしま子が、我らの元に戻ってくる道理もない。我らがしま子に会うことは、二度と叶わぬであろうよ」
「嘘だ」
「……もう、叶わぬのだ。小娘よ」
「嘘だ!」


