「……まあ、なんというか……非常に印象に残る会議でおじゃったなぁ」
「確実に歴史に残りますわね」
「前代未聞じゃわい。ありとあらゆる意味でな」
会議が終わった直後……
なんとか目を覚ました門川くんと、あたしと、例の面々が門川君の私室に大集合していた。
あたしはヘラヘラとごまかし笑いしながら、ポリポリ頭を掻く。
「いやあーそんなぁ、褒められたらテレちゃうしー」
「誰ひとりとして褒めてないです。天内さん」
「ハイ。わかってます。スミマセンです……」
「里緒! 謝る相手が違うわよ! ちゃんと永久様に謝らないと、あたしが鉄拳食らわす……ウプッ」
つわりが始まった身重の塔子さんが、口元を手で覆いながら顔をしかめた。
身につけている帯の生地や帯紐の結び方も、いつもとは少し違った形になっている。
詳しいことは知らないけど、やっぱり妊娠中って、着物の着方が違うんだってさ。
マロさんが心配そうに塔子さんの背中をさすっては、ウザがられてションボリしていた。
そんなふたりに門川君が、気遣わしそうに話しかける。
「今のおふたりには、愉快な話ではなかったろう。申し訳ない」
塔子さんは、元々は上位一族である怒涛一族の長の娘だ。
妊娠中のいま、あんな話を聞いちゃって不安に思っているだろう。
お腹の赤ちゃんに悪い影響が出ないといいんだけど……。
「大丈夫ですわ、永久様。怒涛が上位の仲間入りをしたのは、ほんの二十年前程度のことですから」
「お義父上殿は、上位の格やらしきたりとは無縁の、傑物におじゃりますゆえ」
ふたりが笑顔でそう言うのを聞いて、門川君も安心したように微笑んだ。
でもすぐまた、口元に手を当てながら難しい顔をする。
「確実に歴史に残りますわね」
「前代未聞じゃわい。ありとあらゆる意味でな」
会議が終わった直後……
なんとか目を覚ました門川くんと、あたしと、例の面々が門川君の私室に大集合していた。
あたしはヘラヘラとごまかし笑いしながら、ポリポリ頭を掻く。
「いやあーそんなぁ、褒められたらテレちゃうしー」
「誰ひとりとして褒めてないです。天内さん」
「ハイ。わかってます。スミマセンです……」
「里緒! 謝る相手が違うわよ! ちゃんと永久様に謝らないと、あたしが鉄拳食らわす……ウプッ」
つわりが始まった身重の塔子さんが、口元を手で覆いながら顔をしかめた。
身につけている帯の生地や帯紐の結び方も、いつもとは少し違った形になっている。
詳しいことは知らないけど、やっぱり妊娠中って、着物の着方が違うんだってさ。
マロさんが心配そうに塔子さんの背中をさすっては、ウザがられてションボリしていた。
そんなふたりに門川君が、気遣わしそうに話しかける。
「今のおふたりには、愉快な話ではなかったろう。申し訳ない」
塔子さんは、元々は上位一族である怒涛一族の長の娘だ。
妊娠中のいま、あんな話を聞いちゃって不安に思っているだろう。
お腹の赤ちゃんに悪い影響が出ないといいんだけど……。
「大丈夫ですわ、永久様。怒涛が上位の仲間入りをしたのは、ほんの二十年前程度のことですから」
「お義父上殿は、上位の格やらしきたりとは無縁の、傑物におじゃりますゆえ」
ふたりが笑顔でそう言うのを聞いて、門川君も安心したように微笑んだ。
でもすぐまた、口元に手を当てながら難しい顔をする。


