神様修行はじめます! 其の五

「……まあ、なんというか……非常に印象に残る会議でおじゃったなぁ」


「確実に歴史に残りますわね」


「前代未聞じゃわい。ありとあらゆる意味でな」


 会議が終わった直後……


 なんとか目を覚ました門川くんと、あたしと、例の面々が門川君の私室に大集合していた。


 あたしはヘラヘラとごまかし笑いしながら、ポリポリ頭を掻く。


「いやあーそんなぁ、褒められたらテレちゃうしー」


「誰ひとりとして褒めてないです。天内さん」


「ハイ。わかってます。スミマセンです……」


「里緒! 謝る相手が違うわよ! ちゃんと永久様に謝らないと、あたしが鉄拳食らわす……ウプッ」


 つわりが始まった身重の塔子さんが、口元を手で覆いながら顔をしかめた。


 身につけている帯の生地や帯紐の結び方も、いつもとは少し違った形になっている。


 詳しいことは知らないけど、やっぱり妊娠中って、着物の着方が違うんだってさ。


 マロさんが心配そうに塔子さんの背中をさすっては、ウザがられてションボリしていた。


 そんなふたりに門川君が、気遣わしそうに話しかける。


「今のおふたりには、愉快な話ではなかったろう。申し訳ない」


 塔子さんは、元々は上位一族である怒涛一族の長の娘だ。


 妊娠中のいま、あんな話を聞いちゃって不安に思っているだろう。


 お腹の赤ちゃんに悪い影響が出ないといいんだけど……。


「大丈夫ですわ、永久様。怒涛が上位の仲間入りをしたのは、ほんの二十年前程度のことですから」


「お義父上殿は、上位の格やらしきたりとは無縁の、傑物におじゃりますゆえ」


 ふたりが笑顔でそう言うのを聞いて、門川君も安心したように微笑んだ。


 でもすぐまた、口元に手を当てながら難しい顔をする。