―― キイィィ……ン!
なにかが、どこかで無理をしているような、奇妙な軋轢を感じさせる甲高い音が鼓膜に響いた。
何度も体験した覚えのある鼓膜の不快さに、あたしはハッと顔を上げて様子をうかがう。
あたしたちの場所まであと数歩、という所まで接近していたしま子の足元の地面に、白い術陣が光り輝いていた。
その光の中に墨色の梵字がサラサラと浮かび上がる。
やっぱり! あれは転移の宝珠だ! でもどうして!?
突然の事態にしま子は立ち止まり、戸惑うように自分の足元の光をじっと見ている。
その姿が、電波障害を起こした画像のようにフッと霞んだ。
「しま子! 待っ……!」
待って、と叫ぶヒマもなかった。
術光に全身を眩しく照らされたしま子の姿が、幻のように一瞬で消え去ってしまう。
白い術光も、不快な音も、しま子が消えると同時に跡形もなく消え去る。
後には、さっきまでの騒動が嘘なのかと思えるほど、静かな夜の闇だけが残った。
…………
なにが……起こった、の?
いったいだれが、転移の宝珠を使ったの?
しま子の方へと差し出していた自分の手の先を眺めながら、あたしは唖然としていた。
あたしの頭の上からズルリと滑り落ちた絹糸も、門川君も、あたしと同じような表情で、しま子が消えた場所を眺めている。
ということは転移の宝珠を使ったのは、このふたりじゃないんだ。
お岩さんも凍雨くんも、わけわかんない顔して呆然と立ち尽くしているし、マロさんは気を失って倒れたまんまだし。
クレーターさんと水園さんは、互いを守り合うようにして小さくうずくまっている。
となると、残るは……。
門川君の上に覆い被さっていた体をゆっくりと起こしたあたしは、キョロキョロと視線をさまよわせる。
そして、ここからだいぶ離れた場所で向き合っている、ふたりの男の姿を見つけた。
「地味男。セバスチャンさん……」
すっかり静まり返った山奥の空気に、あたしの声が驚くほど良く通る。
視線の先で、セバスチャンさんと地味男が、お互いを真正面で見合いながら対峙していた。
そのふたりの周囲には、引き千切られたヘビの死体と、食いちぎられた蔦が無数に散乱している。
なにかが、どこかで無理をしているような、奇妙な軋轢を感じさせる甲高い音が鼓膜に響いた。
何度も体験した覚えのある鼓膜の不快さに、あたしはハッと顔を上げて様子をうかがう。
あたしたちの場所まであと数歩、という所まで接近していたしま子の足元の地面に、白い術陣が光り輝いていた。
その光の中に墨色の梵字がサラサラと浮かび上がる。
やっぱり! あれは転移の宝珠だ! でもどうして!?
突然の事態にしま子は立ち止まり、戸惑うように自分の足元の光をじっと見ている。
その姿が、電波障害を起こした画像のようにフッと霞んだ。
「しま子! 待っ……!」
待って、と叫ぶヒマもなかった。
術光に全身を眩しく照らされたしま子の姿が、幻のように一瞬で消え去ってしまう。
白い術光も、不快な音も、しま子が消えると同時に跡形もなく消え去る。
後には、さっきまでの騒動が嘘なのかと思えるほど、静かな夜の闇だけが残った。
…………
なにが……起こった、の?
いったいだれが、転移の宝珠を使ったの?
しま子の方へと差し出していた自分の手の先を眺めながら、あたしは唖然としていた。
あたしの頭の上からズルリと滑り落ちた絹糸も、門川君も、あたしと同じような表情で、しま子が消えた場所を眺めている。
ということは転移の宝珠を使ったのは、このふたりじゃないんだ。
お岩さんも凍雨くんも、わけわかんない顔して呆然と立ち尽くしているし、マロさんは気を失って倒れたまんまだし。
クレーターさんと水園さんは、互いを守り合うようにして小さくうずくまっている。
となると、残るは……。
門川君の上に覆い被さっていた体をゆっくりと起こしたあたしは、キョロキョロと視線をさまよわせる。
そして、ここからだいぶ離れた場所で向き合っている、ふたりの男の姿を見つけた。
「地味男。セバスチャンさん……」
すっかり静まり返った山奥の空気に、あたしの声が驚くほど良く通る。
視線の先で、セバスチャンさんと地味男が、お互いを真正面で見合いながら対峙していた。
そのふたりの周囲には、引き千切られたヘビの死体と、食いちぎられた蔦が無数に散乱している。


