神様修行はじめます! 其の五

 子猫ちゃんの鳴き声が聞こえて、頭上から降りてくる光の織布があたしの体を包み込む。


 おかげでなんとか息ができるようになったし、痛みも少しマシになった。


 た、助かった……。ケガのせいというより、痛みのせいでショック死するかと思った。


「アマンダぁ! アマンダ……きゃああ!」


 こっちに駆け寄ってこようとしたお岩さんと凍雨くんが、風に跳ね返されて地面をゴロゴロ転がっていくのが見えた。


 マロさんの姿が見えないと思ったら、とっくに倒れて失神している。みんなこの強風のせいで身動きが取れないんだ。


「みんな、だ、大丈……ゲホゲホッ!」


 しゃべると同時に、口からまた血が噴き出て激しくむせてしまった。


 な、なんか自分、クジラの潮吹きみたい。身をよじってセキをするたび、口から血が飛び出てノドからヒューヒュー笛みたいな音がする。


 これはたぶん、相当な深手を負わされたんだろう。即死しなくて本当によかった。


「永久! 永久! ええい、我の声が聞こえぬのか!」


 風の音に混じって絹糸の怒鳴り声が聞こえる。


 懸命に地面に張り付いている絹糸の近くに、風を身にまとった門川君が立っている。


 その彼の視線の先、数十メートル離れた距離にしま子がいた。


 攻撃されたしま子は、ターゲットをあたしから門川君に変更したらしい。牙を剥き出しにして雄叫びを上げながら、門川君を睨みつけている。


 たぶん、鬼の本能で門川君の能力の高さを察知して警戒しているんだ。慎重に様子見している。


「…………」


 しま子と睨み合ったままの門川君が、唇を動かし始めた。同時に、彼の足元から純白の術光が輝きを放ち始める。


 門川君が術を発動している! しま子を殺すために!


「だ……だめ。門川君」


 大声を出そうとしても声が出ない。細い吐息のような音が、血と一緒にどうにか出てくる程度だ。


 でも、止めないと。門川君を止めないと。


 まだ傷が治っていない状態で身動きしたら、今度こそマジで死ぬかもしれない。けどそんなこと言ってられるか!


 あたしが門川君を止めないと!


 覚悟を決めたあたしは、仰向けの状態から腹這いになった。