神様修行はじめます! 其の五

「……!」


 言語を絶する痛みが、背中といわず腹といわず胸といわず、猛獣みたいに暴れまくった。


 あまりの痛みに頭はパニックを起こし、神経が暴走して全身の筋肉が収縮して、体が勝手にエビみたいにビクビク仰け反る。


「う……ああああああ!」


 悲鳴をあげたら、口からガポッと血が噴き出した。


 息が吸えない! 水の中に沈んでるみたいに、口にも気管にもぜんぜん空気が入らない!


 呼吸器官に血液が充満してしまってるんだ。血と生臭い臭いが、次々と口から溢れ出てくる。


 痛い、痛い、痛い痛い痛い痛い――――!!


「永久、しっかりせい!」


 風の爆音に紛れて絹糸の声が聞こえた。


 門川君の髪も、羽織の袖も、袴の裾も、風に引き千切られそうな勢いでバタバタとはためいていた。


 なんてことだろう。彼の足元から竜巻が発生してる!


 土や草や、氷の粒の混じった空気がグルグルと渦巻いて、すごいスピードで空高く吹き上がっていくのが見えた。


 その中心に立つ門川君の形相は、すっかり変貌してしまっている。


 見開かれた両目の焦点は霞んで、頬は引き攣り、完全に我を忘れていた。


 激情が暴走している。彼の感情が突風となって荒れ狂っている。


「永久! 永久! ……ええい、目の前で小娘を傷つけられて我を忘れおったな!? この未熟者めが!」


 いくら呼びかけても反応を返さない門川君を罵倒して、絹糸は別方向に叫ぶ。


「今の永久は使いものにならん! 我が子よ、小娘を頼む!」