絹を裂くような、お岩さんの甲高い悲鳴が聞こえる。
凍雨くんの大きな叫び声も聞こえるけど、なんだかすごく遠くて、なに言ってるのか分かんない。
ぼーっとした頭で考えるのは、たったひとつのこと。
しま子が……
あたしを攻撃したんだ……。
それはものすごく悲しいことのはずなのに、なにも感じない。
たぶん事実に心がついていけなくて、感情が麻痺しちゃってるんだ。
ぼうっとしたまま見上げる視界に映ったしま子が、牙を剥きながら大きく上体を反らした。
たぶん、勢いをつけてあたしに食いつこうとしているんだろう。
しま子が、あたしを食おうとしている。
その姿が、濁ったレンズ越しみたいにボワッと歪んで見えた。
あ……これ、涙だ。悲しくないのに、涙は流れるって不思議だなぁ。
目尻から耳の方へと涙が伝って、ぼやけた視界がクリアになった瞬間……
―― ゴォォ――ッ……!!
いきなり凄まじい冷気をまとった疾風が吹き荒れた。
まるで地響きみたいな音を轟かせる風が、しま子の巨体を紙屑みたいに軽々と吹っ飛ばす。
あたしの体も、風にすくい上げられるようにフワリと浮いて、何メートルも離れた場所に飛ばされてしまった。
轟音が鼓膜を刺激し、髪が旗のように靡く。
強烈な風のおかげで、混濁していたあたしの意識がどうにか戻ってきた。
戻ると同時に、涙も凍るほどの寒さと、せっかく戻った意識も失いそうな激痛に襲われる。
凍雨くんの大きな叫び声も聞こえるけど、なんだかすごく遠くて、なに言ってるのか分かんない。
ぼーっとした頭で考えるのは、たったひとつのこと。
しま子が……
あたしを攻撃したんだ……。
それはものすごく悲しいことのはずなのに、なにも感じない。
たぶん事実に心がついていけなくて、感情が麻痺しちゃってるんだ。
ぼうっとしたまま見上げる視界に映ったしま子が、牙を剥きながら大きく上体を反らした。
たぶん、勢いをつけてあたしに食いつこうとしているんだろう。
しま子が、あたしを食おうとしている。
その姿が、濁ったレンズ越しみたいにボワッと歪んで見えた。
あ……これ、涙だ。悲しくないのに、涙は流れるって不思議だなぁ。
目尻から耳の方へと涙が伝って、ぼやけた視界がクリアになった瞬間……
―― ゴォォ――ッ……!!
いきなり凄まじい冷気をまとった疾風が吹き荒れた。
まるで地響きみたいな音を轟かせる風が、しま子の巨体を紙屑みたいに軽々と吹っ飛ばす。
あたしの体も、風にすくい上げられるようにフワリと浮いて、何メートルも離れた場所に飛ばされてしまった。
轟音が鼓膜を刺激し、髪が旗のように靡く。
強烈な風のおかげで、混濁していたあたしの意識がどうにか戻ってきた。
戻ると同時に、涙も凍るほどの寒さと、せっかく戻った意識も失いそうな激痛に襲われる。


