神様修行はじめます! 其の五

 発作みたいに激しく泣きじゃくりながら、あたしは門川君を見上げる。


 ゆっくりと、でも着実にこちらに向かってくるしま子の姿を、門川君は真っ直ぐ目を逸らさずに見つめていた。


「天内君の気持ちはよく分かる。だが、あれはもうしま子ではないんだ」


「ち、ちが……! あれは、しま……!」


「いいや、しま子ではない。しま子なら天内君を殺そうとはしない。あれはもう、しま子とは異なるモノ……『異形』なんだ」


 あたしは一瞬、泣くのも忘れて茫然とした。


 身震いするほど冷徹な言葉が、まるで残忍な刃のように、逃れようのない現実を突きつける。


 あたしの知っている、あたしの記憶の中のしま子は、死んだ。


 あれはもう、しま子じゃない。あたしの愛するしま子は、この世のどこにもいない。


 しま子はもう、なにがあっても戻ってこない。


 そう悟った瞬間、また噴き出すような涙が両目からドッと溢れ出し、あたしはわあわあ泣きじゃくる。


 体が引き千切られた方がまだマシだと思えるほどの激痛が、心をビリビリと引き裂いていく。


『死んだ者は、どうあっても戻ってこない』


 あたし自身、この口で地味男にそう言ったんだ。


『もう戻らない』

『しかたない』

『それが現実なんだから、耐えろ』


 あぁ、あたしは、なんて愚かなのだろう。


 分かっているつもりで、なにも分かっていなかった。


 ……無理だ。


 こんな痛み、耐えられない。


 耐えられるはずがない!