そうだ、獏! しま子じゃなくて獏の方をなんとかすればいいんだよ!
「獏を倒せば、しま子の記憶も甦るんじゃない!?」
「お前の脳みそは高反発マットレスか? こやつらは倒せぬ存在なのじゃと、何度同じことを言えば理解するんじゃ」
「べ、べつに倒さなくてもいいじゃん! あいつに奪われた記憶さえ取り戻せたら!」
あたしは、しま子から少し離れた所にいる獏を指さして叫んだ。
獏は四肢を折って地面にペタンと座り込み、長い鼻をプラプラ揺らして、妙にリラックスしているように見える。
まるで食事を終えて満足している野生動物みたいだ。
もしかしたら獏にとって、他人の大切な記憶ってエネルギー源なのかも。
だとしたら今がチャンスじゃない!? 寝込みを襲って腹を掻っさばいたら、きっと中からしま子の記憶が……
「出てくるわけがなかろうが。赤ずきんでもあるまいに」
絹糸があっさりと却下した。
「自分で想像してみい。お前が食った物を、腹を裂いて取り出したところで、もはやそれは元通りには戻るまい?」
言われて、想像して、すぐに納得してしまった。
咀嚼されて胃液でドロドロに溶かされた、しま子の記憶たちを思って、クラリと眩暈がする。
もちろん獏の食事の仕組みが人間と同じかは分からないけど、どんな形であれ、すでに吸収はされているだろう。
じゃあもう、壊れてしまったの? あたしたちの大切な思い出は、二度と帰らないの?
……そんな簡単に諦められないよ!
しま子を殺すなんてできない。大切なしま子を攻撃することなんて、あたしには絶対にできない!
「獏を倒せば、しま子の記憶も甦るんじゃない!?」
「お前の脳みそは高反発マットレスか? こやつらは倒せぬ存在なのじゃと、何度同じことを言えば理解するんじゃ」
「べ、べつに倒さなくてもいいじゃん! あいつに奪われた記憶さえ取り戻せたら!」
あたしは、しま子から少し離れた所にいる獏を指さして叫んだ。
獏は四肢を折って地面にペタンと座り込み、長い鼻をプラプラ揺らして、妙にリラックスしているように見える。
まるで食事を終えて満足している野生動物みたいだ。
もしかしたら獏にとって、他人の大切な記憶ってエネルギー源なのかも。
だとしたら今がチャンスじゃない!? 寝込みを襲って腹を掻っさばいたら、きっと中からしま子の記憶が……
「出てくるわけがなかろうが。赤ずきんでもあるまいに」
絹糸があっさりと却下した。
「自分で想像してみい。お前が食った物を、腹を裂いて取り出したところで、もはやそれは元通りには戻るまい?」
言われて、想像して、すぐに納得してしまった。
咀嚼されて胃液でドロドロに溶かされた、しま子の記憶たちを思って、クラリと眩暈がする。
もちろん獏の食事の仕組みが人間と同じかは分からないけど、どんな形であれ、すでに吸収はされているだろう。
じゃあもう、壊れてしまったの? あたしたちの大切な思い出は、二度と帰らないの?
……そんな簡単に諦められないよ!
しま子を殺すなんてできない。大切なしま子を攻撃することなんて、あたしには絶対にできない!


