神様修行はじめます! 其の五

 あのとき、しま子の『荒ぶる心』を滅することができたのは、本当に奇跡だったんだ。


 あらかじめ門川君が式神として調伏していたし、あたしの滅火の能力に加えて、じー様の能力もプラスされていた。


 門川の道場の神聖な力も味方してたし、さまざまな要素が絡み合って、天文学的な確率で発生した奇跡なんだ。


「な、なら、永久様がまた調伏すればいいんじゃないですか?」


「それも無理だな」


 慌てふためいている凍雨くんに、また門川君が即答する。


 しま子を調伏したとき、永世おばあ様と門川君の二人がかりで、湯水のように貴重な宝物を使いまくってようやく成功したって言ってた。


 五日の間不眠不休で対峙して、死ぬんじゃないかと本気で思ったって聞いたことがある。


「じゃあ、どうするでおじゃるか!?」


「方法はひとつじゃな。しま子を殺すしかない」


 マロさんの悲壮な声に、絹糸の冷静沈着な声が答えた。


 その非情な言葉に、場の空気が鉛みたいに重々しく張りつめる。


 でも圧し掛かる沈痛さを跳ね除けるように、絹糸の声はどこまでも理性的だった。


「調伏するも滅することもできぬ相手が、我らに襲いかかってくるとすれば殺すしかあるまい。そうであろう? 永久よ」


「…………」


 門川君はなにも答えない。


 けど、その沈黙が肯定を意味しているということは、誰の目にも明らかだった。


 たしかに絹糸の言う通りだ。それしか方法がないのは明らかだ。


 それが分かっているからこそ、みんなこんなに深刻になっている。


 けれど……けれど!


「それでも、ダメだよそんなの! しま子は仲間なんだから!」