「り、里緒殿? しま子はどうしたのでおじゃるか? 獏はいったい、しま子になにをしたのでおじゃる?」
「しま子は、獏に大切な記憶を奪われちゃったの。あたしのことも、これまでのことも、全部忘れちゃったの……」
涙声でそう答えるあたしの言葉を聞いた仲間たちの顔に、一斉に緊張が走った。
「じゃあ……しま子は……」
―― むくり……
完全に鬼神の姿に戻ってしまったしま子が、ゆっくりと起き上がる。
そして幽鬼のような禍々しい気配を全身から立ち昇らせて、ユラリとこちらを振り向いた。
その表情に……
もはや、一切の感情はなかった。
ボコボコした瘤だらけの顔の巨大な目が、ギョロリとあたしたちを見据えている。
獲物を見つけた狩猟者の強烈な本能と、飽くなき欲求が、黒く濁った目の奥でギラギラしていた。
「しま子が、僕たちを獲物として認識しているということか?」
あたしを抱え込んでいる門川君の両腕に、力が込められる。
鬼は異形の中でもかなり特異な存在で、しま子のような『鬼神』ともなると、それは群を抜く。
神獣みたいに人から『神』と呼ばれる高位な霊質をもちながら、その本質はあくまでも『恐るべきモノ』であり、『厄災』そのものが具現化した姿だ。
鬼に対して有効な術は限られているうえに、祓うことも滅っすることも難しい、厄介なことこの上ない異形だ。
「ア、アマンダの力で、もう一度しま子の『荒ぶる心』を滅することはできませんの?」
「それは無理だ」
あたしの代わりに門川君が即答した。
「しま子は、獏に大切な記憶を奪われちゃったの。あたしのことも、これまでのことも、全部忘れちゃったの……」
涙声でそう答えるあたしの言葉を聞いた仲間たちの顔に、一斉に緊張が走った。
「じゃあ……しま子は……」
―― むくり……
完全に鬼神の姿に戻ってしまったしま子が、ゆっくりと起き上がる。
そして幽鬼のような禍々しい気配を全身から立ち昇らせて、ユラリとこちらを振り向いた。
その表情に……
もはや、一切の感情はなかった。
ボコボコした瘤だらけの顔の巨大な目が、ギョロリとあたしたちを見据えている。
獲物を見つけた狩猟者の強烈な本能と、飽くなき欲求が、黒く濁った目の奥でギラギラしていた。
「しま子が、僕たちを獲物として認識しているということか?」
あたしを抱え込んでいる門川君の両腕に、力が込められる。
鬼は異形の中でもかなり特異な存在で、しま子のような『鬼神』ともなると、それは群を抜く。
神獣みたいに人から『神』と呼ばれる高位な霊質をもちながら、その本質はあくまでも『恐るべきモノ』であり、『厄災』そのものが具現化した姿だ。
鬼に対して有効な術は限られているうえに、祓うことも滅っすることも難しい、厄介なことこの上ない異形だ。
「ア、アマンダの力で、もう一度しま子の『荒ぶる心』を滅することはできませんの?」
「それは無理だ」
あたしの代わりに門川君が即答した。


