神様修行はじめます! 其の五

『りお、わたしね……』


 映像に向かって夢中で手を伸ばすあたしの耳に、しま子の心の声が聞こえる。


『わたしね、……へいき』


 死が迫る恐怖も、肉を食いちぎられる激痛も、血を啜られる強烈な苦痛も、しま子が感じるすべてが、この胸に切々と伝わってくる。


 なのに……分かるんだ。


 しま子は本当に、平気なんだって。


 それらを黙って受け止められるほど、しま子がこんなに強くいられるのは……。


『りおがね、……だいすきだから』


 しま子の記憶の声を聞くあたしの目に、涙が、あふれた。



―― わたしが、ほんとに、つらいことは、


 りおの目から、水がいっぱい、こぼれること。


 それは『なみだ』と、よぶらしい。


 りおの、なみだは、かなしいです。


 あなたの、なみだを、見ていると、


 こんなに、こんなに、こころが、いたい。


 りおのこころも、こんなにいたい?


 ……そんなの、いやだよ。


 だったら、わたしが、いたくなる。


 りおの『いたい』は、ぜんぶ、もらう。


 わたしは、つよい鬼。いたいのなんか、へっちゃらです。


 だから……


 だからおねがい。なかないで……。


 ほら。お花を、あげましょう。


 これさえあれば、りおは、笑える。


 りおが、笑って、くれるなら、


 わたしの、すべてのお花を、あげましょう。


 わたしのぶんは、無くていい。


 ひとつのこらず、あなたに、あげる。


 だから、おねがい。なかないで……。


 それが、わたしの、ねがいです……。