神様修行はじめます! 其の五

―― ゴンッ……!


 急に大きな衝突音がして、ハッとした。


 音につられて、なんだか痛みまで感じたような気になって、あたしは顔をしかめる。


『わ、ゴメン! まさかそこにいるなんて思わなかったから!』


 次いで聞こえる、あたしの声。


 これは、消えてしまったしま子の記憶の続き?


 門川邸のトイレの扉の映像が、目の前に広がっている。


 その扉の陰で目を丸くしているあたしの姿も。


『ねえ、そんな生まれたてのヒヨコみたいに、あたしの後をつけ回さないでくれる?』


 ムスッと唇を尖らせて文句を言うあたし。


 ……覚えてる。滅火の炎で『荒ぶる心』を滅されたしま子は、カルガモのヒナみたいにあたしの後をついて回っていた。


 本当にどこに行くにもピッタリくっついてきて、あたしから片時も離れようとしなかった。


 このときも、トイレの中まで入ってこようとしたしま子を叱り付けたっけ。


 叱られてショボンとしているしま子の気持ちが、手に取るようにあたしの心の中に流れ込んでくる。


『ゴメンね? ゴメンね? でもね、あなたから離れたくないの……』