神様修行はじめます! 其の五

 まるで誰かがあの出来事を撮影していて、その映像をいまここでワイドスクリーンに映しているみたいだ。


 そう。逃げ回るあたしを背後から追いかけながら、その怯える姿を記憶にとどめているような……。


「もしかして、これって……」


 この映像って、もしかして、しま子の記憶じゃない?


 うん、たぶんそうだよ。あたしは今、あたしと初めて出会ったときの、しま子の記憶を見せられているんだよ。


 きっとこれはバクの術だ。記憶を操る獏の能力が、この映像を見せているんだ!


 そう理解したとたん、いきなり目の前の映像がグニャリと変形した。


 まるで、誰かの手でグシャグシャに丸められた紙みたい。


 色も形も音声も混然と小さくなって、すべてがフッと煙みたいに消滅してしまった。


 呆気にとられているうちに、気がつけば呼吸がまた少し楽になって息ができるようになっている。


 い、いったい、どういうことなんだろう? たぶん獏の術となにか関係があるんだよね?


 獏の術は、相手の夢や記憶を操ったり、奪ったりすることなわけで……。


 …………。


「まさか」


 まさか、しま子の中のあたしに関する記憶が、獏に奪い取られているってこと!?