いつの間にか周囲は、血の池になっていた。
黒とも赤ともつかない、ただ暗い色のドロリとした大きな血の池の中に、体が否応なしにズブズブ沈んでいく。
死と絶望を意味するこの血は、死んでいった者たちが流した血。
こんなにたくさん、まるで海と見まごうばかりに、途方もない血が神の一族の歴史の中で流れ続けてきたのか。
『他人事か?』
濃厚な血に喘ぐあたしの目の前がどぷりと波立って、血まみれの顔がニュッと浮き上がる。
『これは、お前が救えずに死んでいった者たちの血なのだぞ?』
どぷり。どぷり。どぷり――
次々と血まみれの顔が血の池から浮き上がり、あたしをグルリと取り囲んだ。
よく見知った彼らは、底の深い真っ黒い穴みたいな恨みの眼で、あたしをジーッと刺すように見つめている。
あれは門川君のお兄さん。そして秋風さん。奥方。お岩さんのお父さん。
雛型の、たまきさん。常世島の長さん。戌亥。蛟の長老。信子長老……。
あぁ、みんな、死んでしまったね。
血も、希望も、未来もなにもかもすべてを奪い尽くされて、あなたたちは殺されていったね。
そしてあたしは、生きるんだ。
自分が生きるために、こんなにもたくさんの人が死んで、なのにあたしはなにも成し得ていない。
この先、なにかを成し得る保証すらない。
世界は他者を犠牲にし続けて、こんなにも無価値な自分が延々と生き残り続けなければならない、地獄。
果てない地獄の只中に、あたしは囚われてしまった。
『囚われた? なにを勝手な』
ニィッと、血濡れた顔の奥方が笑った。
『お前が自分で望んだのだろう? この地獄の道を』
黒とも赤ともつかない、ただ暗い色のドロリとした大きな血の池の中に、体が否応なしにズブズブ沈んでいく。
死と絶望を意味するこの血は、死んでいった者たちが流した血。
こんなにたくさん、まるで海と見まごうばかりに、途方もない血が神の一族の歴史の中で流れ続けてきたのか。
『他人事か?』
濃厚な血に喘ぐあたしの目の前がどぷりと波立って、血まみれの顔がニュッと浮き上がる。
『これは、お前が救えずに死んでいった者たちの血なのだぞ?』
どぷり。どぷり。どぷり――
次々と血まみれの顔が血の池から浮き上がり、あたしをグルリと取り囲んだ。
よく見知った彼らは、底の深い真っ黒い穴みたいな恨みの眼で、あたしをジーッと刺すように見つめている。
あれは門川君のお兄さん。そして秋風さん。奥方。お岩さんのお父さん。
雛型の、たまきさん。常世島の長さん。戌亥。蛟の長老。信子長老……。
あぁ、みんな、死んでしまったね。
血も、希望も、未来もなにもかもすべてを奪い尽くされて、あなたたちは殺されていったね。
そしてあたしは、生きるんだ。
自分が生きるために、こんなにもたくさんの人が死んで、なのにあたしはなにも成し得ていない。
この先、なにかを成し得る保証すらない。
世界は他者を犠牲にし続けて、こんなにも無価値な自分が延々と生き残り続けなければならない、地獄。
果てない地獄の只中に、あたしは囚われてしまった。
『囚われた? なにを勝手な』
ニィッと、血濡れた顔の奥方が笑った。
『お前が自分で望んだのだろう? この地獄の道を』


