神様修行はじめます! 其の五



 ―― あぁ、そうだ。それだけでよかったのに。


 自分もあのお方も、まともな死に方ができないだろうことくらい、知っていた。


 それでも構わなかったのだ。


 あのお方とふたり、堕ちるところまで堕ちて、共に非業の最後を遂げられるのならそれで幸せだった。


 私がこの世で唯一愛した、決して私を顧みようとせぬあのお方と、共に死ねる日がいつか訪れたなら……


 せめて私は救われる。


 腐りゆく体を抱え、言語を絶する苦痛に喘ぐ日々を生きていられたのは、ただその願いゆえだった。


 なのに、もう、それすらも叶わない。


 私の体は無意味に腐って腐って、孤独という蟲に蝕まれ、ほら、今もこうして溶けている。


 永遠に、あのお方の隣に眠ることも叶わず、ひとりで……――



『私に救われぬ死を与えたのは、誰だ?』


 亡霊の言葉に、あたしはぽつんと答える。


「……あたし」


 答えを聞いた亡霊が、また問いかける。


『私の望みを奪い、愛する人を奪い、そしてお前はなにを成し得た?』


「……なにも」


 あたしは、なにも成し得ていない。


 あれから世界はなにひとつ変わらず、戦いで人は死に、守りたいと願った者さえ守れない。


 そして取り残された者たちは苦悶に喘ぎ、天を仰いで恨みの言葉を吐き続け、不幸と悲劇は起き続けている。


 あんたの命を奪っておきながら、あたしも、この世も、なにも変わっちゃいないんだよ。


『そうだ。だからお前は、仇花。いかにも希望に満ちた顔で爛漫と咲き誇りながら、結局は実を結ばぬ花なのだ』