あー、そういや昔、雛型の事件で大混乱が起こったとき……
凍雨君が宝物庫からアイテムをちょろまかしたら、絹糸が大激怒してたっけ。
……まさかそのせいで、責任とって死んでないよね? 小浮気一族の誰かが。
あのときは大変な非常事態だったからなー。
「小浮気の長殿、なにか問題でもあるのか?」
「宝物庫を管理する一族の長として、当主様に申し上げたき事柄がございます」
「何事だろうか?」
「はい。実は当主様が就任なされてから、まだ一度も宝物庫の検めをおこなっておりませぬ」
……宝物庫の、あらため? なんじゃそりゃ?
キョトンとするあたしの胸元で、絹糸のヒゲがピーンと震えた。
「おお、そういえば、そうじゃったのぅ!」
「ねえ、なんのこと?」
「門川の当主が代替わりしたときに、新たな当主が宝物庫の中を検分するという、昔からのしきたりがあるんじゃよ」
「けんぶん? 在庫チェックみたいなもん?」
「そうじゃ。いやはや、すっかり失念しておったわい」
「門川君が就任してから大事件の連発で、在庫チェックのヒマなんてなかったもんね」
「家宝など、本来よほどの非常事態でもなければ、宝物庫から出すこともないのでな」
そりゃそうだ。でも鬼ババの奥方は、勝手に自分の部屋に置いてたみたいだけど。
つくづくムチャなことしてたんだなー。あの人って。
当時の小浮気一族の当主さん、生きた心地がしなかったろうな。やっぱハゲてたのかな?
凍雨君が宝物庫からアイテムをちょろまかしたら、絹糸が大激怒してたっけ。
……まさかそのせいで、責任とって死んでないよね? 小浮気一族の誰かが。
あのときは大変な非常事態だったからなー。
「小浮気の長殿、なにか問題でもあるのか?」
「宝物庫を管理する一族の長として、当主様に申し上げたき事柄がございます」
「何事だろうか?」
「はい。実は当主様が就任なされてから、まだ一度も宝物庫の検めをおこなっておりませぬ」
……宝物庫の、あらため? なんじゃそりゃ?
キョトンとするあたしの胸元で、絹糸のヒゲがピーンと震えた。
「おお、そういえば、そうじゃったのぅ!」
「ねえ、なんのこと?」
「門川の当主が代替わりしたときに、新たな当主が宝物庫の中を検分するという、昔からのしきたりがあるんじゃよ」
「けんぶん? 在庫チェックみたいなもん?」
「そうじゃ。いやはや、すっかり失念しておったわい」
「門川君が就任してから大事件の連発で、在庫チェックのヒマなんてなかったもんね」
「家宝など、本来よほどの非常事態でもなければ、宝物庫から出すこともないのでな」
そりゃそうだ。でも鬼ババの奥方は、勝手に自分の部屋に置いてたみたいだけど。
つくづくムチャなことしてたんだなー。あの人って。
当時の小浮気一族の当主さん、生きた心地がしなかったろうな。やっぱハゲてたのかな?


