「水絵巻の使用が叶えば、たちどころに真実を確かめられましょう」
「しかしあれは門川の……ひいては神の一族全体の家宝なのだ。僕個人の所有物ではない」
「では、この場の皆様にもお願い申し上げまする」
平伏していた頭を上げて、地味男が背筋を伸ばして振り返る。
そして自分の後ろにいる大勢の当主たちに向かって、滔々と語りかけた。
「この由々しき事態を治めるためにも、水絵巻の力を用いるべきかと存じますが、皆様いかに?」
当主たちがお互いの腹を探り合うように、それぞれ顔を見合わせている。
やがて、誰かひとりが小さな声を上げた。
「賛同、いたしまする……」
すると堰を切ったように、次から次へと賛同者が現れる。
「賛同いたしまする」「同じく」「同じく」
……はぁ、先頭がひとり右を向くと全員、右ならえというか。
前ならえというか、左向け左というか、こんなところもきっちり集団パフォーマンス。
変なところで息ピッタリなんだよなぁ。この連中。
まあ、それはともかくとして、確かにこの件はせっぱ詰まった大問題だ。
上位一族同士だけの問題じゃない。神の一族全体の問題になる。
だったらやっぱり普段はめったに出番のない、ご自慢の家宝の、久々の腕の見せ所ってことだ。
「しかしあれは門川の……ひいては神の一族全体の家宝なのだ。僕個人の所有物ではない」
「では、この場の皆様にもお願い申し上げまする」
平伏していた頭を上げて、地味男が背筋を伸ばして振り返る。
そして自分の後ろにいる大勢の当主たちに向かって、滔々と語りかけた。
「この由々しき事態を治めるためにも、水絵巻の力を用いるべきかと存じますが、皆様いかに?」
当主たちがお互いの腹を探り合うように、それぞれ顔を見合わせている。
やがて、誰かひとりが小さな声を上げた。
「賛同、いたしまする……」
すると堰を切ったように、次から次へと賛同者が現れる。
「賛同いたしまする」「同じく」「同じく」
……はぁ、先頭がひとり右を向くと全員、右ならえというか。
前ならえというか、左向け左というか、こんなところもきっちり集団パフォーマンス。
変なところで息ピッタリなんだよなぁ。この連中。
まあ、それはともかくとして、確かにこの件はせっぱ詰まった大問題だ。
上位一族同士だけの問題じゃない。神の一族全体の問題になる。
だったらやっぱり普段はめったに出番のない、ご自慢の家宝の、久々の腕の見せ所ってことだ。


