神様修行はじめます! 其の五

「昼ドラのワンシーンみたいだったよね。小学校五年生の教室の前で」


「泣いたなー、あの後。真美に抱き付いてワンワン泣いた」


 失恋のショックと、ダシにされた悔しさと、あんな目にあった恥ずかしさで、精神面ズタボロになっちゃって。


 真美の前でしか、泣けなかった。


 ボロぞうきんみたいになっちゃった自分の本音をさらけ出せる相手って、真美しかいなかったもん。


 大荒れして、罵詈雑言叫びまくってるあたしに、『全部あたしにぶつけていいよ』って、真美は言ってくれたんだよなぁ。


「ホントに遠慮なく全部ぶつけてくれたよね、里緒ってば」


「あはは。おかげ様で立ち直れました」


「あのとき約束したっけ。これからもお互い、どんなことでも隠さずに打ち明けようねって」


 そう言って懐かしそうに写真を見上げる真美を見て、あたしの胸は再びキュッと痛む。


 この苦しさは罪悪感だ。


 あれからあたしたちは、約束通りなんでも話し合える親友同士で、隠し事なんてひとつもなかったのに。


 今、あたしは言えない秘密を抱えている。


 真美を信用していないわけじゃないんだ。真美に打ち明けられないのは、そんな理由じゃない。


 あたしひとりに関わる秘密じゃないから、門川君たちに迷惑をかけることになるのが怖い。


 真美に信じてもらえなかったら? って思ったら、それもすごく怖いし。


 仮に信じてもらえたとして、そのせいで真美が背負うことになる重さが、もっともっと怖い。


 でも同時に、こうも思うんだ。


 もしも立場が逆だったら、あたしは真美に打ち明けてほしいと思うだろうな……って。