「似合ってますでしょう!? 似合ってますわよね!?」


「似合ってますか!? ボク似合ってますか!?」


「に、似合ってる。少なくとも、現世に来た反動で危ないタガが外れちゃったのかな? って心配しちゃうくらいには、似合ってる……」


「妙な称賛のしかたですわね。この衣装は、ベルベットちゃんに着せられたんですのよ」


「えぇー!? これって絹糸の趣味だったの!?」


「小娘よ、なにを朝から的を外しまくった心配をしておるか」


 あたしの足元に、いつの間にか絹糸が近寄っていた。


 ……あ、良かった。いつもの絹糸だ。


 絹糸までペット用のセーラー服とか着てたら、ショックで寝込むところだった。


「き、絹糸、これはいったい、なんのサプライズイベントでしょうか……?」


「これはべつに我が趣味で着せたわけでも、新たな境地に目覚めたわけでもないわい。いつもの恰好では外を歩き回れぬので、着替えさせたんじゃ」


「だからって、なんでセーラー服と学生服?」


「他に、こやつらの体格に合う衣装が無かっただけじゃ」


 いや、だから、なんでセーラー服がここに置いてある!? そこが問題じゃないんですか!?


 誰なのよ、ここに当然のようにセーラー服置いてたやつは!? そいつヤバイだろう!


 ……まさか門川君か!?


「永久様探索のために、不自然に見えない姿が望ましいのです。『郷に入っては郷に従え』でございますから」


 セバスチャンさんの声が背中から聞こえて、あたしはギクーッと震えた。


 まさか……セバスチャンさんまで学生服スタイル、とか……?


 ビクビクしながら振り向いて、ホッとした。彼はワインレッドのTシャツにブラックジーンズという、シンプルスタイル。


 超ラフな格好なのに、長身で抜群にスタイルのいい体躯に沿ったその服は、惚れ惚れするほど似合っていた。


 イケメンってどんな世界でも通用する生き物なんだなぁ。すごい。