神様修行はじめます！ 其の五

　そうだそうだ思い出した！


　こっちの世界にも、神の一族ほどではなくても能力の持ち主はいるんだっけ！


　その中でも特に力の強い者たちを門川が雇う形で、異形退治させてるんだった！


「その連中を監督しておったのが、我じゃ。連中の手に余るような異形は我が退治しておったんじゃよ」


「そういやバイトの面接であたしと真っ先に会ったの、絹糸だったもんね」


「現世が騒ぎになるような大物は、こちらには来られぬ。現れるのは薄い影のように力の弱い異形ばかりじゃ」


「そういった異形たちも、こっちの能力者がちゃんと退治してくれているんだよね。じゃあ、ここが戦場になるような心配はないよね？」


「なにしろ、まだ永久の本意がわからぬのでな。断言はできぬが水絵巻がらみの件が理由だとは思うがのぅ」


「小浮気様、現世において、なにか水絵巻と関連性のある事柄は思い当りませんか？」


　セバスチャンさんの言葉に、焼肉弁当を食べ終わったクレーターさんが答えた。


「私は現世に来たこと自体が初めてなのだ。こちらの世界の事情など、知りようがない」


「そういえば、水絵巻はもう修繕されたのでおじゃりましょうか？」


　マロさんがペットボトル入りのお茶を、茶道のお抹茶をいただくような和風な手つきでコクコク飲んでいる。


　そういえば水園さんが、水底の水晶の欠片を持ち逃げしてたっけ。あれはたぶん、水絵巻の修繕に必要だったんだろう。


「小浮気一族直系の娘と、永久がいるのじゃ。部品さえ揃えば宝物の修繕など朝飯前じゃろうて」


「かもしれないね。……朝飯といえば、明日の朝ご飯も買ってきたよ。ここに置いとくから」