―― ガ――ン! ガ――ン!


 頭部を殴られるような衝撃は止まない。


 目の前の現実が、剥き出しの神経をザラザラと逆撫でて、強烈な痛みとなって襲いかかってくる。


―― ガァ――ン! ガガ――ン!


 悲しい。苦しい。つらい。


 信じていたのに。信じようとしていたのに。


 まさか、彼があたしじゃない人を求める姿を、この目で見てしまう日がくるなんて!


 門川君の言う通りだ! こんな所、来なければよかった!


 こんな……こんな、体を切り刻まれるよりも苦しい思いをするなんて……!


―― ガアァ――ン! ドォォ――ン!


 …………。


 ……ちょっと待て。


 なんかこの効果音、さっきからおかしくないか?


―― ドドドオォーー……!!


「うわっ! なんだこれ!?」


 いきなり頭上から、黒い物体がドサドサ連続で落っこちてきた。


 でっかいコンクリの破片みたいなのが、結界に当たって跳ね返り、ドズンと足元に落下して埋まる。


 これ、門川君が凍らせた黒霧じゃん!


 どうもさっきからガンガンやかましい音がすると思ってたら、これが落ちてきてたのか!


 凍ったせいで、異形の性質が変化したのかもしれない。これだから正体不明の敵とは戦っちゃダメなんだよ!


―― ドドドド……!


 あれよあれよと黒い破片が落下してきて、足元を黒く染めていく。


 浮上して逃げようにも、雨あられのように天井が崩れてきてるわけだから逃げられない!


「うわっ! うわっ! うわっ!」


 結界で守られてはいるけど、無意識に両手で頭をガードしながら悲鳴をあげる。


 この状況、トンネルの落盤事故と同じだ。閉鎖された空間にこんな大量の破片が落ち続けてきたら、生き埋めは確定だ。


 ヘタしたら、結界の強度だって衝撃に耐えきれないかもしれないし、どうすりゃいい!?


 このまま黙って生き埋めを待つしかないの!?