「常世島の者たちの血統を一人残らず、亡くなった者にいたるまで、可能な限り遡って調べ上げてみたのです」


「血統? つまり、ひとりひとりの家系をたどってみたというのか?」


「はい。その結果、実は常世島の者のほとんどが、身分の高い一族の系統である事実が判明いたしました」


 大広間に漂う空気が、わずかにザワリと揺れた。


 ……太古から綿々と特殊能力を受け継ぎ、異形のモノと戦う神の一族たち。


 お岩さんの権田原一族とか、凍雨くんの氷血一族とか、マロさんの端境一族とか。


 それはもう、たくさんの一族が存在しているけど、それぞれの地位は決して平等じゃない。


 こちら側の世界にも、現世みたいに階級制度が存在している。


 大学のランク付けみたいに、各一族のランクがピラミッド状態に形成されているんだ。


 ピラミッドのてっぺんが門川一族。そっから下に行くほど、地位も、権力も、発言力もどんどん薄まっていく。


 最下層の一族なんて、ケチッて作ったカルピスみたいな扱いだから、できるだけ身を小さくして、謙虚に生きている。


 逆説的にピラミッドの上に位置する一族は、んまー、大抵はエラぶってやがんのよ。


 ほら、クラスにもいるじゃん?

『うちはお父さんの仕事が◯◯でぇ~』とか、『うちのお母さんは◯◯なんだぁ~』とか、親の力を自分の力と勘違いしている、自称セレブ。


 あれの、勘違いしたまんま大人になった困ったちゃんが、門川上層部。


 それに年寄りのワガママがプラスされて、さらに天下無敵になっちゃった迷惑な暴れん坊将軍が、長老たちだ。