神様修行はじめます! 其の五

「にいぃぃ――――!」


 この場に似つかわしくない、子猫ちゃんの可愛らしい鳴き声が聞こえた。


 とたんに目の痛みが急速に消え去ってて、バチバチと光線が弾け飛ぶような視界の苦しさが、みるみる正常に戻っていく。


 うお、子猫ちゃんの治癒能力発動だ。ありがとう!


「でかした小娘。我が子も、ようやったぞ」

「にー♪」

「みんな、大丈夫!?」


 頭を振って瞬きしながら周囲の様子を窺えば、状況は一変していた。


 さっきのお日様みたいな炎の余波が、消滅することなく周囲一帯に及んでいる。


 ぼわーっとしたガスの固まりみたいな感じに炎が固まって、ユ~ラユラ浮かびながら周りを照らしている。まるで街灯。


 街灯っつーか、まるっきり人だま。ここが墓地だったら効果抜群だ。


「アマンダ、ご覧になって。あそこにさきほどの異形が」


 残り火のおかげですっかり見通しが良くなった視界の端で、異形が蠢いている。


 黒い霧状の体を、太陽光みたいな明るい光に包み込まれて、ジワジワと弱っていく様子が見えた。


 なんか、塩ぶっかけられたナメクジみたい……。ちょっと気の毒。


 通常とは効果が違うみたいだけど、どうやらあたしの攻撃は有効だったらしいな。


 よかったー! ミッション成功! ひとまずこれで安心だ!


「典雅よ、すぐに結界の強化を頼む」


「承知におじゃります」


「水園! いまのうちに水園を助けに行くぞ!」


 水園さんに近づいていた異形は、明るい光に驚いたのか向こうの方へ遠ざかっている。


 それでも決して水晶がある場所から離れたくないのか、撤退する気配はない。


 あれじゃ、いつまた襲ってくるかわかんないな。まずは結界を強化してから水園さんに近づかないと。