神様修行はじめます! 其の五

 いまにも泣きベソをかいてしまいそうな自分の弱気を、頭をブンブン左右に振って振り切った。


 豆腐メンタルになってる場合じゃない! いまこそ、骨の髄まで門川君にしごかれた修行の成果を見せるときだ!


 こんな情けないあたしの姿を見たら、彼はどんなにガッカリするだろう。


『実に情けない! 自分自身の極限の無能さを恥入りたまえ!』 ……って叫ぶに違いない。


 そして、あの冷たくも美しい微笑みを浮かべて、彼はこう言うんだ。


『僕が費やした時間は、完全に無駄だったということか。君の能力は本当に、無理・無駄・ムラの三拍子だな』


 ……うん。きっと言われるな。


 だって何度も何度も言われたもんな。このセリフ。


 他にも、『せっかく仕込んでやった知識を、上から下へひとつ残らず、ザルみたいに通過させてしまう直下型脳みそ』とか。


『目の前の小石ひとつを除けるのにも、ランチャー砲を放つような燃費の悪さ』とか。


『ふたつ以上のことを同時に処理できない、まったく役に立たない判断能力』とか。


『自分に都合のいいことしか聞こえない、無意味で無価値な聴覚』とか!


 っていうかね、いまでもちょくちょく言われてるんですよ!


『本当に手がかかる未熟者』だの、『頼むから僕に迷惑をかけるな』だの、『護衛のくせに僕の力をあてにするな』だのってさ!


 あー、なんっかもう、ムッチャクチャ腹立ってきたんですけど!


 手がかかるのはどっちよ!


 そもそもねぇ! あんたが面倒なんか起こさなきゃ、あたしらはこんな目になんか遭ってないっつーの!


 うおおぉ! 体中の血が熱く燃えあがってきたあ!